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2019年3月23日 「平成の文学」朝井リョウ×宇垣美里@本のフェス②

 

meher-ichi.hatenablog.com

 こちらの続き。

 

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宇垣さんの読書歴。

パワポ→原点『堕落論』『風葬の教室

朝井「宇垣さんが本を読むきっかけはあったんですか?」

宇垣「両親も読むし、家にたくさん本があって、買い与えてもらっていたというのはありますね。単純に本が好きだった。高校生の時に生徒会長をしていて、友だちが図書委員で昼休みとかずっと図書室にいなきゃいけなくて、一緒にいたんです。その時にここにある本全部よんでやるっていう謎の使命感があって結構読みました」

朝井「10代の時に本の感想を共有できる友だちがいたんですね。選書を見るとあんまり話せる人がいなさそうと思ったので。今の中高生って本当に本、活字を読まないじゃないですか」

宇垣「マンガすら読んでないみたいですからね」

宇垣「私、やっかみを受けやすい体質で」

朝井「存じております」

宇垣「それこそマイメロ論の原点が『風葬の教室』です。《心の中で墓場に埋める》っていうセリフが好きです。山田詠美さんが大っ好きで。昔サイン会に行った時、山田詠美さんが引くくらい号泣しました」

パワポ→しんどい時に読む『凍りのくじら

朝井「辻村深月さん、いいですよね〜」

宇垣「好きです。何度も読み返してます。言葉が優しいんですよね〜。主人公が周りの人をS・Fで表すんですけど、自分のことを《少し不在》って言うんですね。なんかわかるなって」

パワポ→『少女七竃と七人の可愛そうな大人』『夜と霧

朝井「これは、どんなテーマで選んでいただいたんでしたっけ?』

宇垣「『七竃〜』はこれを読んで東京に出ようと決めた本ですね。《都会に出れば紛れられる》ってある。そうか!と」

朝井「宇垣さんみたいな人は分母が多いところにいた方がいい人!」

宇垣「(朝井さんが未読だったので)これはぜひ読んでほしい」

宇垣「『夜と霧』は人間に絶望した時に読む本ですねw 希望を持つのも人間だったら、毒ガスとかで人を殺せちゃうのも人間なんですよね」

朝井「そのタイミングで読むかによって、受け取り方も変わりますよね。本は生もの、タイミングは運命」

宇垣「堕落論とか夜と霧とか、触れる年代で全然ちがう印象かもしれないですね」

朝井さんの読書歴。

パワポ→原点『一瞬の風になれ』「さくらももこエッセイシリーズ

朝井「『一瞬の風になれ』はもう本当にいちばん。絶版になることはないと思うけど、これは本当に絶版になってほしくない。初めてこんなに読み終わりたくないと思った。読み終わりたくないんだけどどんどん読んじゃう。命を引き延ばしてくれるような本。こういう本を書きたいと思う。青春スポーツもの書きたいと思って2作目に『チア男子!』を書いたんですけど、人の書き分けがすごい難しい。佐藤多佳子さんは態度で書き分けててすごいなと改めて思いました」

朝井「さくらももこさんは文章を読むのが楽しいと思わせてくれた、もっと原点の本。正しく読まなくてはと思わなくていい、徹底的なナンセンス。ここから何も読み取らなくていいよ〜というところ」

宇垣「私もさくらももさん好きです。おじいさんのお葬式の話とか。それ言っちゃっていいんだ、と思いつつも笑っちゃう」

パワポ→エンタメ作家の自覚という意味で『反乱のボヤーシュ』『悪の教典

朝井「『反乱のボヤージュ』は読みたい感情がすべて入ってる。共感がすごい。最近では『蜂蜜と遠雷』がそうだった」

宇垣「あー、よかったですよね〜」

朝井「『悪の教典』は真逆で共感ゼロ。救いようがない」

宇垣「でもなぜか読んだ後すっきりしてるんですよね」

朝井「共感って大事なんですけど、共感がいきすぎても危険だと思うんですよね。セリフなのに私の言葉として読まれちゃう」

宇垣「《私》っていうのは、読んでる人?朝井さん(作者)?」

朝井「私(朝井)です。共感ベースの波が来てるのかなって。登場人物のセリフなのに、アンフェミニストなんですね、みたいに言われちゃう」

宇垣「登場人物のキャラとしてのセリフなのにね」

朝井「この前ある有名作家さんのインタビューを読んで《作品の中で女性を殺しにくくなった》って言ってたんですよね。このくらいの人でもそうなのかと。でも作品に書かれたことを作者の言葉として100%受け取るのは違うと思う。暴力的な表現を読んだら暴力的な行動をとる? 違う。それに触れることと、そういう気持ちになることは別もの」

パワポ→目標『なずな』『光の犬

朝井「この2作は文章がきれい。試験問題で堀江先生の『スタンス・ドット』を読んで、試験より問題文が気になっちゃって。堀江敏幸って名前を覚えておいて、進路を決めました。大学で堀江先生のゼミに入って、言葉の選び方とか聞いたけど、感覚なんですかね。でも、私の作品の解説文で《耳がいい方がいい》と書いていただいてて、そういうとこかなって。五感を文章にする力。人によって同じ音でも聞こえ方違うじゃないですか」

宇垣「ニワトリの鳴き声が日米で違うように」

朝井「このお二人は魔法使いです。こんな文章が書ける作家になりたい」

 

ここで、司会者から質問(事前に来場者から質問集めてた?)

司会「題材はどうやって決めていますか?」

朝井「遠くにあると思っていた2つのものが、近くにあると感じた時ですかね。『何者』だったら、SNSと就活をテーマにしたんですけど、SNSってどんどん言葉が短くなってきてるじゃないですか」

宇垣「最近は写真ですもんね」

朝井「短くなってるってことは、想像力を働かせなくちゃいけない。なのにそれを鍛えるところがない。表面的なことしか見えない。就活も、これから何十年と付き合うかもしれないのに、数回だけの接触ですべてを決めないといけない。それってどうなの、と。これを私は《ねずっち》と呼んでます。謎かけですね。宇垣さんの連載のネタは?」

宇垣「(クイック・ジャパンの連載)拝啓、貴方様は、ウソが書きたいと思って始めました。完全にうそってわけじゃないけど、架空の人に向かって書く。事実をちょっと脚色したり。犬の話とか」

朝井「えッ! あれうそなの!? 感動しちゃったもん。架空OL日記みたいですね」

 

(ここから、どんな流れだったか忘れたけど覚えている会話を)

宇垣「『死にがい〜』ではメグミが好き。《〜しなくちゃいけない》と考えてしまう感じはすごくわかる」

 

宇垣「朝井さんのエッセイのくだらなさは最高ですよね」

朝井「賞もらうと次の日にはAmazonで⭐︎1つ付く、みたいな世界で。エッセイはただ笑ってもらいたいだけ。エッセイはストレッチ、小説とは別のスポーツという感覚ですね」

宇垣「眼科医の話とか好きです。普通の人は見過ごしてしまいそうなところを拾える。そういうネタはどうやってストックしているんですか?」

朝井「メモは取らないようにしていますね。自然と思い出すことが面白いことだと思ってるんで」

 

宇垣「そのままに受け取ってほしくないですよね。コラムで書いていたり、それこそマイメロ論だったり、そういう人だ、とは思われたくない」

朝井「作品より自分(作家自身)を好きになってほしいって思いが見える人いますもんね〜w」

 

司会「読んでる本が中だるみして結末を先に読んでしまうことがある。中だるみした時の対処法は?」

朝井・宇垣「・・・中だるみすることがないw」

宇垣「でも、私は3冊くらい同時に読むんですけど、気分変えて別の読んだりすることはありますね」

朝井「これはもしかすると、私への指摘ですかね? お前だぞ、とw まぁ、さっきも言いましたけどタイミングですよね。最後まで読めなかったことに落ち込まないで、今じゃなかったと思って、別の本を読んでみるとか」

司会「新しい本に出会う方法を教えてほしい」

宇垣「ラジオですね。帯番組をやっていて、そこで本のコーナーがあるので。読まなきゃいけない本が山積み」

朝井「ラジオは自分のアンテナじゃないものが流れてきますよね。最近は、数学者が書いた本が面白かった(確か森田真生さん)。そういう本に出会う方法ってことですよね。変だなって思った人が読んでる本や食べているものはチェックします。やっぱり変な人って食べてるものもちょっと変わってるんですよ。佐村河内さんとか、木嶋佳苗さんとか…。私twitterのアカウント5こくらいあるんですけど」

宇垣「えー!?」

朝井「そういう変な人を探す用とかw」

宇垣「朝井さんって自滅的なのに、なんでエゴサするんですか?」

朝井「本当は傷つかないってわかっているからかも」

宇垣「あー確かに。本当に傷つく人はできないですよね。エゴサとか、石の裏見るみたいなものですよね。わーいっぱい虫いるー、みたいな」

朝井「ねー、楽しいですよね〜人生ってw」

 

司会「では、そろそろお時間なので…」

朝井「最後にノリカの最新情報を…」

(会場笑い)

パワポ

www.sazaesan-stage.jp

会場「えー!!w」

朝井「またも明治座です。これは行かないと。ごはんが進む」

宇垣「波平さんが松平健さん!」

朝井「原田龍二さんはこの前の明治座にも出ていらしたのでお抱えですね」

朝井「ということでw 以上です。ありがとうございました」

宇垣「ありがとうございました」

 

(この後2ショットを和やかに撮影して退場)

 

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本当に楽しかった! 私と年が近い二人というのもあるけど、会話にまざりたかったくらい。ますます宇垣さんに興味津々。4月に「週刊プレイボーイ」の連載が書籍化するらしいので、買ってみようかな。4月20日に発売イベントあるみたいなんだけど、その日嵐のコンサートだから難しいかもな…。行きたかった。

朝井さんが言っていた「宇垣さんは言葉で戦っている人」というのが今回のイベントで垣間見えた気がした。ちゃんと連載もチェックしてみよう。「犬の話」も探さなきゃ。

簡単なメモと私の頼りにならない記憶で書いてるので、ニュアンスとか話の流れが違う部分があると思いますが、雰囲気で読んでください。

 

 

宇垣美里 ファーストフォトエッセイ 風をたべる

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