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2019年5月13日《名作シナリオを楽しもう》傑作ドラマ『アフリカの夜』ふたたび! 自分用記録メモ

www.waseda.jp

こちらのイベントに行ってとても面白かったので、忘れないうちにメモ。

早稲田大学演劇博物館主催の「名作シナリオを楽しもう」プロジェクト第一弾のトークショー。演劇博物館館長の岡室美奈子氏によるイベントへの思いは、こちらの記事で↓

幻の傑作ドラマ「アフリカの夜」再発見 - 岡室美奈子|論座 - 朝日新聞社の言論サイト

※この記事はトークショーでも配布。

 自分の汚いメモ書きと記憶を頼りに書いているので、正確性に欠けます。後日公式レポートが出るそうなので、きちんとした内容を知りたい方はそちらをご覧ください。こちらはあくまでも自分用の記録です。

《講演メモ》

仕事がおして開始時間にちょっと遅刻。会場に入るとすでに岡室さんと作家の柚木麻子さんが登壇してた。柚木さんはノースリーブの黒いドレスにひじまでの黒い手袋。なんか見覚えある服だな〜と思ったら、『アフリカの夜』OPの緑(ともさかりえさん)のコスプレだ!さすが大ファン!そして、脚本の大石静さん、プロデューサーの山口雅俊さん、ディレクターの宮本理江子さん、丸山みずほ役の室井滋さん、木村緑役のともさかりえさんが登壇。室井さんはかわいいネイビーのワンピース、ともさかさんは淡いグリーンのワンピース。

・作品について

大石さん:山口さんとある作家さんが決裂して私に声がかかりました。2週間しかない、とにかく速くとw すごくスリリングな仕事でした。

山口さん:タイトルと『エデンの東』のセリフ「道は開かれている」というコンセプトは彼女(決裂した脚本家w)と決めていた。大石さんとはいつかやりたかったのに、こんな形でカード切ってしまうとは…

岡室さん:女性の群像劇は誰の案ですか?

山口さん:キャストやコンセプトは大石さんに頼む前からすでに決まってました。

岡室さん:「アフリカの夜」は、そもそも山口さんが書いていた小説のタイトルと聞きましたが?

山口さん:小説のタイトルだったけど、内容は全く違いました。ほかに「トランジット」とか。当時ライバルと思っていた八木康夫さんが『魔女の条件』やっていて、意識してましたw

宮本さん:福田和子はどうかと山口さんから提案があった。いろんな部屋の住人が出てくるマンションのドラマ企画を出していたけど全然通らなかったw そこからメゾンアフリカの設定が。

岡室さん:このドラマは私を含め当時の女性を勇気付けたドラマでした。今話に出た“福田和子”は時効ギリギリで捕まった人物ですが〜(福田和子の説明少し)。そんな人物を演じた室井さん、いかがでしたか?

室井さん:福田和子とはちょっとパターン(犯行理由)が違ったんですけど。この仕事は特殊メイクが仕事始めでした。特殊メイクはじめてで思い出深いです。初めて自分の顔の型を取りましたw 特殊メイクは江川(悦子)さん。この型はどうするのか聞いたら捨てると言われた。自分の顔が捨てられるのはちょっとと思って、もらいました。今も家にあります。あと指名手配のポスターも美術さんにいただきました。

岡室さん:いらなくなったら、演劇博物館にぜひ!w

室井さん:ぜひ!むしろその方がいい。寄付します。砂かけばばぁもあるので一緒に。

岡室さん:緑はともさかさんしか絶対にできない役でした。

ともさかさん:当時19歳だったかな。山口さんとは何本か一緒にやってました。普段は過去のことを振り返らないんですが、とても大好きな作品なので、こういう機会をいただけてうれしいです。(佐藤)浩市さんとは縁があって、『素晴らしきかな人生』では親子、『タブロイド』では恋人など。

岡室さん:『素晴らしきかな人生』も本当に素晴らしい!天才! そして作品の大ファンの柚木さん、いかがでしょう。

柚木さん:緊張して一睡もできませんでした。ドラマは高3の時で受験そっちのけで観てました。FODで繰り返し観てます。BOX出して欲しいです!!最近『ギフト』のBOXが出たので『アフリカの夜』も諦めてません!今日フジテレビの偉い方も来ているそうなので、フジテレビの偉い方!ソフト化してくださーい!wその時は亀田伸枝の指名手配写真を特典でつけて欲しい!

 

〜第1話冒頭の脚本と映像〜

8年前。礼太郎(佐藤浩市)と八重子(鈴木京香)が土砂降りの中、車を押している。礼太郎が八重子にプロポーズ。礼太郎「道は開かれている」

1年前。八重子の結婚式。相手は礼太郎ではない。しかし、式中に新郎(松重豊)が逮捕されてしまう。

(映像再生中 京香さんをみてかわいい〜の声。室井さんかともさかさん?)

〜第1話最後の脚本と映像〜

メゾンアフリカの管理人になった八重子と礼太郎が再開する。そこに八重子の婚約者が現れる。脚本では、緑「……」有香(松雪泰子)「……?」八重子「……!?」のように「…」ばかり。

岡室さん:脚本のセリフには「………」が多いですが、これは?

大石さん:説明は書かない主義です。俳優がダメな場合は気持ちを補って書きますw

岡室さん:池端俊策先生も「…」を多用すると言ってました。演出の宮本さんはいかがですか?

宮本さん:みなさん自由にやってもらいました。今見るとすごくカット割りが多いですね。まじめに撮りすぎてるw 今なら違った撮り方をすると思います。

ともさかさん:1話の時点ではキャラが定まってませんでした。クランクイン前に渋谷のスタジオでリハをしました。そこで、つまらないと言われて方向転換した。

?:だれに言われたの?

ともさかさん:河毛(俊作)さんw

岡室さん:河毛さんは演出ですね。このドラマは宮本さんの他に2人、河毛さんと水田成英さんと3人で撮っていました。演出家によって特徴はありますか?

宮本さん:女性ディレクターが男性キャラを撮る、男性ディレクターが女性キャラを撮ると理想を押し付けがち。演出によって変わると思います。

柚木さん:ともさかさんが本当にかわいい。今日は緑のコスプレしてきたんですけど(やっぱり!)、年齢的にはみずほとかの方が近かった。美容院行って、緑役のともさかさんの写真見せて「こうしてください」って言いました。担当してくれた美容師さんが20歳くらいで、このドラマがやってた年に生まれてた!みずほの役は今の私に年齢が近い。けど、室井さんはすごく年上に見えるように演じてた。その年齢のねじれみたいなものも、メゾンアフリカの歪みを表していたと思う。この建物本当にあるんですよね?

宮本さん:ロケ地はすごい北(都内の北の方ということ?)だったことは覚えてる。

室井さん:早稲田の近くにも似た建物がありますよね?似てる〜懐かしい〜と思った。

柚木さん:大石ドラマといえば物件ドラマ!階段の上下で心理状態表してたり。

大石さん:意識はしていないけど、1階から2階とか立体感は大切にしてる。1話の設定は山口さんに言われるままに書いていたので、私の要素はないですw 山口さんに『エデンの東』を渡されて、とりあえずこれ読んでって。「道は開かれている」というセリフを読ませるためだけに、3巻くらいもある本を私に読ませたw

山口さん:これが大きなテーマだったからw

 

〜第9話の脚本と映像〜

みずほが亀田伸枝だと気付いた八重子に、みずほが「もうすぐ時効だから見逃して」とつめよる。が、「亀田伸枝ではない」と、けろっと態度を変える。

(映像明け拍手)

岡室さん・柚木さん:ドラマ史に残る名シーン!!

大石さん:役者も脚本家も力ないとできないシーンですw

室井さん:ディレクターは水田さん。20何ページあるシーンだったけど、途中で切らないと言われた。「えー!大変なことになった…」って思いました。みずほの衣装が着物の理由は、昔の女性は帯とかに大事なものをしまいこんでたと聞いたことがあって、みづほもお金を帯に入れてて、何も持ってなくてもいつでも逃げられるようにしてるという設定にした。

岡室さん:これは当て書きですか?

大石さん:もちろん。素晴らしいキャストはすでに決まっていたので。長いシーンや肝になるシーンは、あまり考えないで書いてます。勢いを大切に。役が動き出す時が上手く書ける時。

柚木さん:八重子は偽善者に見えてたけど、このシーンでみずほは本当にヤバイ人なんだとわかる。このシーンを観るためにFODに入ってます!

岡室さん:けろりとした顔が本当にすごい。

山口さん:大石さんが天才的。もちろん室井さんの演技もすごいが、「けろり」の前のストローク長いところが脚本の妙です。

岡室さん:どの回を誰が撮るかはどうやって決めていますか?

宮本さん:順番で回してました。

山口さん:でも河毛さんがラスト(最終11話)のいいところ撮りたいって言って、この回(第9話)は河毛さんだったのを調整して水田さんになった。

 

〜第9話の脚本と映像〜

自首した方がいいと考える八重子に、緑が反対するシーン。

岡室さん:台本からは想像できないともさかさんの演技でした。

大石さん:緑のキャラはリハでみんなで作った感じです。

ともさかさん:もっと幼稚なキャラのアプローチをしていたけど、徐々にこういう方向になりましたね。

大石さん:緑はいちばん大人なキャラだった。八重子は世間のイメージ。

岡室さん:緑は小悪魔ですよね。

ともさかさん:今映像見て、思ってた以上に下手でびっくりしてますw フフッと笑う演技とかしてたんですね。意図してではなく、このころ(9話)にはキャラクターが勝手に動き出していた感じです。

宮本さん:ともさかさんじゃないとできない、捉えどころのないキャラクターだった。奥深いところを見たいと思わせる演技です。

ともさかさん:(役作りは)何も考えてなかったw みなさんとの関係性の中で出来上がった。

柚木さん:緑は兄の礼太郎が大好きなんだけど、本当に血が繋がった兄妹なんですよね!?

大石さん:繋がってますw

柚木さん:このドラマって、セクハラ、男性からの暴力とかアンチテーゼが詰まってる。最後に礼太郎が死んでしまうのもそういう意味が込められていると思って、さっき裏で聞いたら「(死んだのは)何となく」って言われてびっくり。(ものすごく早口でもっといろいろ熱く語ってたけどメモが追いつかず…w)

大石さん:視聴者の想像力って本当にすごい!

 

〜最終11話の脚本と映像〜

時効まで残り2時間40分。自首を進める八重子を振り切って逃げるみずほ。貧血?で海に落ちる有香。助けるために飛び込む八重子と救急車を呼びに走る緑。逃げようとするが戻ってきて助けるみずほ。そんなみずほに八重子は小さく「逃げて」というが、結局捕まってしまう。

岡室さん:八重子の「逃げて」が素晴らしいところ。逮捕されるところで音楽が切れるのがまたいい。これは意識した演出?

宮本さん:覚えてないw 心で本を追ってった時にそう聞こえたんだと思う。

大石さん:本って複雑。いろんな要素があってひとつのシーンができる。これはプロットがしっかりした本ではなくキャラが生きてる本。

岡室さん:八重子の「逃げて」はなぜ?

大石さん:八重子は世間のつもりで書いてた。主人公だけど、実は好きじゃなかった。鼻につくな〜と思いながら書いてました。山口さんに「みずほが逃げ切るバージョンじゃダメ?」って聞いたら、公共の電波としてそれはダメだろうってw 本当は逃げ切る気持ちで言ってたので相談しました。

室井さん:(見てて)泣いちゃった。このシーンはかなり体をはってました。4〜6月だったので水も冷たいし、実は泳げないんです。このシーンで足ひきづってるのも、2階から飛び降りたから…

柚木さん:いや!ちがいます!車からダイブしたんですよ!2階からは最初の方。

室井さん:そうだw すごいw 2階から飛び降りるシーンはスタントだったけど、降りて走り出すところはやってほしいと言われて。スタントさんはフカフカのマットがあったけど、私は2mくらいの高さからコンクリートに降りて本当に足が痛かった!マットがよかった!w かなり体を張ったドラマです。

岡室さん:みずほが海に飛び込む時、フォームがきれいでしたけど、さすが俳優さんですね。ここはともさかさんも印象的です。

ともさかさん:福井という名の木更津ですねw 当時よりも、今見た方がせつないです。

岡室さん:逃げ切らないのは、やっぱり公共の電波だから?

山口さん:公共の電波というより、逃げ切っちゃうとみずほが主人公になっちゃうと思って。主人公である八重子の葛藤を描きたかった。

大石さん:このヒロインが得意じゃくてw 緑は私っぽいかな。

山口さん:“八重子”は実母の名前なので、実は思い入れがありますw

大石さん:杉立八重子って変な名前、これじゃなきゃダメなの?ってw

 

〜最終11話の脚本と映像〜

礼太郎がヤクザに逆恨みされて刺される。福井にいる八重子たちから礼太郎に電話。礼太郎の死。

(VTR明け、ともさかさん泣いてる?)

宮本さん:大石さんの本は次どんな言葉やセリフがくるかわからない。その本を生かすために、過度に先に説明しないようにしてる。あとから画がついていけばいい。

大石さん:女たちの展開が刺激的な決着になったので、礼太郎はどうするか悩んだ。山口さんに相談して、死ぬことにしちゃお〜って。

山口さん:実は浩市さんと議論になった。死んで終わるってどうなのって。太陽に吠えろじゃないんだから、ふざけんな!と。難しいといいながらも、とても素晴らしい演技でした。

柚木さん:礼太郎が死ぬのは、オープニング映像が伏線だったのかなって。女性たちは車に乗って去っていくけど、礼太郎だけは車に乗らず置いてかれて、化粧品とか投げつけられてる。『怒りの葡萄』と同じ?

山口さん:ファストキッチンで白玉黒蜜あんみつ食べながら考えたw 大した意味はないです。

柚木さん:また視聴者の深読みか!w 意外と偶然で作られているんですね〜

岡室さん:ここからはフリーで。室井さん、逮捕されるところを演じてみていかがでしたか?

室井さん:この役は大好きです。バイタリティ、エネルギー溢れる役。戦ってる、そういう女の人好き。この役をやれてうれしかった。続編、作りますか?w

柚木さん:やって欲しい! 20年後だから、ちょうど礼太郎と有香の子どもが20歳。

室井さん:あの人たち(八重子、有香、緑)がみずほの嘆願書出してくれたりして。

大石さん:たぶん出所してるんじゃない? 1クールは難しいけど、2時間ドラマくらいなら書けるかも。

ともさかさん:(楽しそうに)えーどうしますー?

大石さん:浩市さん、お気に召さなかったみたいだからw

山口さん:浩市さんはとても格闘してて、お気に召さなかったわけではないです。國村隼さん、松重豊は全然まだ売れてない時に出てもらったから、このドラマでは男性キャラはほぼ浩市さん一本だった。

柚木さん:私が國村さんを初めて認識したのがこのドラマだった。2回目はキルビル

岡室さん:國村さんのイメージは『ふたりっ子』が強かったから新鮮でした。キャスティングはどのように?

山口さん:『きらきらひかる』で京香さん主役で、室井さんともさかさんは当時ほぼご一緒してた。

岡室さん:『アフリカの夜』を振り返っていかがですか?

宮本さん:久しぶりで面白かったです。今だったらこの企画は絶対通らない。心情やキャラの動きがシーンになった時に面白いドラマだから、企画プレゼンのプロットでは伝わらない面白さ。

岡室さん:でもこういうドラマが生まれないとさみしいですよね。

山口さん:室井さんとともさかさんに感謝です。特に大石さん! 井上由美子さんでは崩壊していましたw(書くのがとっても遅いから、という意味。最初に降りた脚本家だったのかは不明)大石さんがいかにすばらしい作家であるかがわかる。

室井さん:ほかにない企画で面白い。またこういうイベントやって欲しいです。ぜひDVDにしましょう。

大石さん:埋もれた作品に光を当ててくれてありがとうございます。当時、山口さんと仕事をしたくて自宅調べて直談判しに行きました。大雨の日に呼ばれて、こんな天気の日じゃなくても(笑)と思ったけど思いは通じた。今日はゼミの学生さんもいると思うので、本当にやりたいことがあるなら、ずうずうしく行くべきだと伝えたいです。人生は開けます。でも、このあと山口さん二度と呼んでくれないけどw

ともさかさん:20年前、なんてすごい場にいたんだろうと思いました。12歳でデビューしてテレビドラマに育ててもらった。これからも心に残るような作品に出たいです。

柚木さん:ファン代表です。ともさかさんのブログで「19歳」とみると『アフリカの夜』のころだと勝手に想像してます。『素顔のままで』から続くフジの女性に向けたドラマは続けて欲しい。今こそBOXにならないと! 大石さんの本は現状肯定で、日本人は現状肯定をされたがっている。

 

岡室さん:最後にドラマのエンディングを見て終わりにしましょう。

〜最終回ラストの映像〜

映像流れながら皆さん退場して終了。

 

以上。

《感想》

このイベントを知るまで『アフリカの夜』を観たことがなかったので、イベント前にFODで視聴。面白かった!FODだけでしか観られないのもったいないなぁ。

fod.fujitv.co.jp

柚木麻子さんの作品大好きだから、まず柚木さんがドラマを語るってとこに惹かれて行ったけど、ほかの登壇者も豪華で、みんなの話を聞くには2時間じゃ足りなかった! 第一部はファンによる『アフリカの夜』大好き芸人的な企画で、後半スタッフキャストを交えてリアルな話を聞く、みたいな展開だとより楽しかったかも。柚木さん、絶対消化不良だと思うw あと脚本も一緒に見るのが楽しい試みだったなぁ。また別のドラマでもやってほしい!!「大テレビドラマ博覧会」から岡室先生への信頼度抜群だけど、これからも期待大!

 

2年前の早稲田大学演劇博物館主催のトークショー記録はこちら。

 

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