2019年3月23日 「平成の文学」朝井リョウ×宇垣美里@本のフェス①
朝井リョウ×宇垣美里「平成の文学」対談イベントへ行ってきた。先日の読書会参加のために登録したpeatixでたまたま見つけたもので、本のフェス(読売新聞、DNP主催)のイベントのひとつ。本のフェスを初めて知ったけど、本や読書に触れてもらう一般向けの企画のよう。子ども向けのイベントもありそうだった。
朝井リョウは前から好きな作家で、たぶんだいたい読んでるんじゃないかな。「平成の文学」ってタイトルだし、平成をテーマにした最新刊だったから『死にがいを求めて生きているの』を読んで臨んだ。宇垣アナは話題になった「マイメロ論」くらいから気になって、連載コラムをたまに読んでいる程度だったけど、今回のイベントでより気になる存在に! 4月からフリーになるとのことで期待大。
《講演メモ》
お二人登場。宇垣さんめっちゃかわいい!!
朝井「最初に言っておきたい、こんな仰々しいタイトルですが…そのような話はいたしません! それ目的で来た人は立っていただいて大丈夫ですw 後で変えられるって聞いてたのに、このタイトルでチケット配布始まっちゃって…」
とのことで、タイトルよりはもっとフラットな講演内容だった。ここで、朝井さんが準備してきたパワポを表示→「なぜこの組み合わせなのか」
宇垣「え!? パワポですか?w プレゼン形式w」
朝井「パワポ流したいって言ったら、延長コードが足りなくて、急遽隣のビルから持ってきてもらった。すみません。でもこれがないとできないんですけど〜(嫌味な感じでw)って言ってごねたw ありがとうございました」
宇垣「あ! だから開場が少し遅れたんですね〜」
朝井「で、なぜこの組み合わせなのかってことですが、TBSラジオで何度かお会いしてるけど、世界で自分しか観てないと思っていたドラマを宇垣さんも観てたんですよね〜。そこで、この人合うなと。ドラマはこちらなんですけど…」
宇垣「これは観ないとっていうセンサーが働きましたね〜香ばしい感じ」
朝井「このドラマで藤原紀香さんは版画家なんですよ。で、紀香さんブログを見にいったら、本気で版画をちゃんと勉強してたんですよね。ノリカ本気だったんだ!と。申し訳ないなと思って反省しました。それで生ノリカを観に行こうと思いまして、舞台に」
宇垣「濃ゆいですね〜」
朝井「そうなんですよ! 友近さん曰く《バーニング四姉妹》ですw 衝撃の3部制で、3部はまさかの熱唱! 舞台ではノリカはじゃじゃ馬な三女っていう世界観で…観に行っていろんな気づきがありました」
パワポ→気付き①生のノリカはすごい
朝井「(藤原紀香さんは)現実とは違う世界にいないと変に見えちゃう。今更だけど、スタイルがいい! 華がある! もうすっかりノリカファンになった。これ明治座なんですけど、常連さん的な煩型が幕間で、ノリカは顔が派手だ、とか言ってるんですよ! キッ!(にらむ顔)って」
朝井「自分が好きな小説の論法とは真逆なんですよね。全部言ってくれる。明治座のメインターゲットはご高齢で、そこに合わせてる。会話で情報が全部わかる。一緒に行った小説家の方が言っていてなるほどと思ったんですけど、高齢者のディズニーランドなんだって。確かに。1日いれるんですよ。でも、私には早かったなって。背伸びしちゃった。全部言ってくれると甘えが出てきて、想像力が失われるんですよ。見たものを見たままに受け取るのは危険だなって。そうするとR-1の観客みたいになっちゃうw 現実はディズニーランドじゃないじゃないですか。で、宇垣さんはそういうことに言葉で中指立ててる人だなって。それで本のフェスってことです」
宇垣「ここで!w」
朝井「見えないものを言葉で表すことで戦っている人だなって」
パワポ→「宇垣アナ 生きていて申し訳ない」のニュース見出し
宇垣「これは、回転寿司に一人で行って、ファミリー席を一人で占領してるときに思ったんですよね」
宇垣さんの連載について
パワポ→情景描写がきれい
朝井「たくさん文章を読んできた人のバランスだなって。文のリズムがいい」
宇垣「本もたくさん読んでますけど、リズムはアナウンサーという職業が関係あるかもしれないですね。読んで読みやすいリズムを意識してます」
朝井「セリフ書くときに声に出して書くのと似てるかも」
パワポ→絶望は人生の標準仕様
朝井「宇垣さんは根底に諦観や絶望がある」
宇垣「私、朝井さんの作品は全部読んでると思うんですけど、朝井さんの作品も読んでて絶望する感じもあって、苦しいんだけどすごい好きなんですよね(会場クスクス、宇垣さん?な顔)」
宇垣「準備がよすぎるw いい話してるのに、なんでみなさん笑ってるんだろうって思った」
朝井「宇垣さんの連載には、楽しんでほしいより中指立てっぞ!を感じる。社会人を3年間経験して、やっぱり忙しいんですよね。そこで最初に削った時間が読書だった。その時、本は最低限必要なものじゃないと感じた。でもそんな中でも読みたくなる本ってあるんですよね。そんな本を書きたいなと思いました。明るい本を読んだからって明日から頑張ろうとは思わないじゃないですか」
宇垣「ほんとそうですね。むしろ苦しいの読んで頑張ろうと思えたり」
ここで、新刊の紹介。入り口にサイン本あるのでぜひ!
朝井「対立をテーマに平成を書くのが難しかった。(朝井、宇垣)二人ともゆとり世代ですよね?」
宇垣「平成3年生まれなのでがっつりです」
朝井「ナンバー1よりオンリー1の時代。でも絶対人と比べてしまう自分がいて。自分の個性って人と比べないとわからないじゃないですか」
朝井「あと、何かあるとすごく怒る人がいて、なんでだろうって。言葉のはけ口がないと自分の輪郭を保てないのかな。対立することで自分を確立してる。秋葉原の事件の調書とか読むと、《社会的に価値がない》って言ってて、自己否定、自滅的な部分、すごいわかっちゃう自分もいるんですよね。仕事できなかった…もうサラダにドレッシングかけてはいけないんだ、あたたかい布団に寝てはいけないんだ、みたいな。」
宇垣「朝井さん自身は作品の中でどのキャラクターに近いとかあるんですか?」
朝井「だいたい作品の中でいちばん気味が悪いキャラがだいたい自分ですね。最新刊だったら雄介、弓削(男)ですかね」
宇垣「えー意外」
朝井「納税額を発表しているのをみると、すごい下がる。納税額って社会貢献度じゃないですか。被害妄想なんですけど。聞こえてない言葉が聞こえちゃう感じ。私の場合は自傷的で、これが自分に向いてるからセーフなんだけど、人に向いちゃったらダメ。でもこれって紙一重なんですよね。秋葉原とか相模原とかの事件調書をすごい読むんですけど、すごいわかりすぎて!! 平成っぽい気がした。で、宇垣さんの《生きてて申し訳ない》にもすごく平成を感じました」
宇垣さんの話に
朝井「宇垣さんはいわれのない中傷を受けがちじゃないですか? アナウンサーがディズニーランドに見える立場でもありますよね」
宇垣「確かに昔から言われやすい体質ですね」
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ここから宇垣さんの読書歴の話へ。②へ続く。